2017年 ベストアルバム

2017年の好きなアルバム10枚です。10枚に無理矢理絞り込むことで自分らしさが出ると思うのです。 文章は全部感覚で書いてるので大目に見てください。

Mellow Waves / Cornelius

今年はCorneliusのファンになった一年だった。「あなたがいるなら」を聴いてからというもの、過去に聴いてさっぱり良さがわからなかった「Point」、「Fantasma」にもすっかりハマってしまった。Corneliusの楽曲はクールに統一されているかと思いきや、ところどころ感情が溢れ出てしまっているのが好きだ。今作は「メロウ」がテーマとなっているが、「あなたがいるなら」「いつか/どこか」のギターソロ、「未来の人へ」のアウトロなど、生々しい感情は過去最高だ。密室感と夢心地が調和した個人的には2017年最高のアルバム。


Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here"

Phantom Brickworks / Bibio

PHANTOM BRICKWORKS

PHANTOM BRICKWORKS

  • Bibio
  • エレクトロニック
  • ¥1500

去年は歌モノアルバム(これも素晴らしかった)だったBibioの全編アンビエントで統一されたアルバム。夜に散歩をしていると、道路を車が走る音がとても気持ちよく感じるのだが、このアルバムはこの感覚と似ている気がする。掴みどころのない音楽だが、中盤からハッとするような美しい瞬間が訪れる。まるで脳の溝を柔らかい布で丁寧に拭き取られるような気持ちになる。リラックスしたいときや寝る前、読書の際におすすめ。


Bibio • ‘Phantom Brickworks III’ (Edit)

Sleep Well Beast / The National

とにかくドラムの音が最高。「Day I Die」は間違いなく2017年のアンセム。頭でぼんやりと考えていたオルタナティブ・ロックとエレクトロニカみたいなものが同時に鳴らされていく快感、聴けば聴くほど今まで聴こえなかった音が見つかる喜びがある。これぞ「インディーロック」というようなこだわりや信念みたいなものがじわじわ染みてくる。


The National - 'Day I Die'

FANTASY CLUB / tofubeats

CDで音楽を売ってはいるもののCDそのもので音楽を聴く人はほとんどいない。そんな中、「アルバム」というまとまりにどれだけ意味があるのかということも考えつつある2017年、「アルバム」というまとまりで音楽を聴く楽しさを再確認した一枚。ライナーノーツの「部屋で音楽と向かい合ってじっくりアルバムを聴くことはライブとはまた違う体験である」という言葉にとても勇気づけられ、自分の音楽を聴く姿勢をもう一度考え直す機会となった。

wired.jp

「東京」ではなく地方都市の孤独、苦悩に、同じく地方で生まれ地方で育ち地方で働く自分としては共鳴してしまう。


tofubeats / トーフビーツ -「BABY」

PINK / 土岐麻子

PINK

PINK

一体シティーポップとは何なのか。2017年もあんまりよくわからなかった。しかしこのアルバムがとても上質なポップであることは私にも分かる。華やかなだけでなくこちらは「東京」の孤独を歌っている。アップテンポな「Rain Dancer」が鳴り止んで間髪入れずに「カクテルのグラスには~」と「Blue Moon」が歌い出される瞬間に音楽を聴く喜びを感じる。


土岐麻子 / PINK

I See You / The xx

逆に音を鳴らさないことでグッとくる1stアルバムから比べると過剰とも言えるくらいの音数。しかしメランコリックな感情はそのままにドラマチックになっているのが最高。「On Hold」と「Test Me」が同じアルバムに入っているということ、完全に閉じた音楽でありながら開かれた音楽でもあるという矛盾を鳴らしてしまっているところにグッとくる。


The xx - I Dare You (Official Music Video)

Life Without Sound / Cloud Nothings

エモの権化その一。一曲目の「Up To The Surface」から頭の内側からハンマーでガンガン殴られる感覚がするほどエモい。「ロックとかあんまり聴かなくなっちゃったな」なんて言ってたことをお詫びしたい。何歳になってもこういう音楽で血を沸かしたい。


Cloud Nothings - "Up To The Surface" (official music video)

熱源 / cinema staff

熱源

熱源

エモの権化そのニ。ロマンチック爆発の歌詞を激情的な演奏に乗せた全10曲。完全なる僕と君だけの二人だけのセカイを綴る「返して」、最後の「僕たち」にはひれ伏すしかない。CDの棚ならLife Without Soundの隣に置きたい。

僕らはずっとひとりだけ せめて上のまぶたが落ちるまで
鼻の奥がツンとするような映画の話をしていたい


cinema staff「返して」MV

New Energy / Four Tet

New Energy

New Energy

Four Tetの音楽の好きなところは現実に虚構が割り込んでくるような感覚がする点。エレクトロニカの上に言葉がわからないほど分断された女性の声が差し込まれていくのを聴いていくと不思議なトリップ感がある。映像でいうと時間軸と場所が違う物語が交互に進行していく映画を観ているような気分になる。


Four Tet - Planet

SOAK / ねごと

ねごとのまさかの2017年二枚目のアルバム。前作「ETERNALBEAT」で習得した分厚いシンセ音を完全に自分のものとしている。メロディのフックも過去最高だと思う。「WORLDEND」のサビ裏で弾き倒すギターリフも聴いてるとニヤニヤしてしまう。今作はアルバムとしての構成が素晴らしい。「moon child」「undone」「ALL RIGHT」の流れや、そこから「シリウス」「水中都市」でバシッと締まって「空も飛べるはず」まで味わえる。なんだか2010年前後の邦楽ロックをアップデートしたような内容に興奮した。


ねごと - ALL RIGHT [Official Music Video] -Short Ver.-

以上、アルバムとしてよく聴いた10枚でした。次点としてはThe War On Drugs、PhoenixBjorkBeckGorillazなどなど……。来年はライブも素晴らしかったAPOGEEサカナクションSpangle call Lilli lineに期待。